佐藤さんいわく「木津川市は京都と奈良の文化を併せもつまち。自然や古い建造物もたくさんあって、それはどれもがアートを感じさせる宝モノに見えた。ちょうど平城遷都一三〇〇年祭と国民文化祭・京都が重なって、この機会にと動き始めた。」大変なこともあったが、会場提供など様々な協力を得て、二〇一〇年十一月、十二日間に渡って開催された「第一回木津川アート二〇一〇」には多くの人々が訪れた。
 そして二〇一一年九月。大型台風が接近していたちょうどその時、今年の参加アーティストたちは会場の下見を行っていた。小西邸の庭の横には立派な蔵があった。そこには実に素敵な空間が眠っていた。「ここには十年以上入ってなかったんですよ。こんなところが使えるんですか?」という蔵のオーナーに「もちろん。とっても魅力的です。是非使わせてください!」と佐藤さん。新しいアート空間が増えた瞬間だった。ここでは、川中政宏さんが作品を発表することが決定した。別の会場である川越織物工場跡では、松谷真未さんが空間をじっと見つめていた。もう使われなくなった倉庫が、どんなギャラリーよりも素敵な空間に見えてくる。伊吹拓さんが公開制作を行っていたのは鹿背山の倉庫。近所の人たちがその作品制作を見守っていた。この鹿背山は、地元のアーティストが多く活動している地域。アートセンターのような存在感を持つ「アトリエやま」、若手のグループ「アルテシカ」など、アーティストの磁場でもある。
 十一月、今年も「木津川アート二〇一一」が開催される。見慣れた町並みでも、ひとつの記憶が増えるだけで全く違う町に見えてくる。使われなくなった倉庫、元医院、長く使っていない蔵。まちの中で忘れられていく建築物。そこにはたくさんの記憶が眠っている。佐藤さんはひとつひとつの建物を訪ね、持ち主に会い、開催会場を開拓していく。ボランティアの人々やアーティストと共に掃除をし、会場として整える。アーティストの作品が展示され、それを見に来る人々がいる。古い建物が息を吹き返すことは、まちに新しい記憶と未来が生まれることに繋がっている。

大京都アーカイブ

 佐藤さんいわく「木津川市は京都と奈良の文化を併せもつまち。自然や古い建造物もたくさんあって、それはどれもがアートを感じさせる宝モノに見えた。ちょうど平城遷都一三〇〇年祭と国民文化祭・京都が重なって、この機会にと動き始めた。」大変なこともあったが、会場提供など様々な協力を得て、二〇一〇年十一月、十二日間に渡って開催された「第一回木津川アート二〇一〇」には多くの人々が訪れた。
 そして二〇一一年九月。大型台風が接近していたちょうどその時、今年の参加アーティストたちは会場の下見を行っていた。小西邸の庭の横には立派な蔵があった。そこには実に素敵な空間が眠っていた。「ここには十年以上入ってなかったんですよ。こんなところが使えるんですか?」という蔵のオーナーに「もちろん。とっても魅力的です。是非使わせてください!」と佐藤さん。新しいアート空間が増えた瞬間だった。ここでは、川中政宏さんが作品を発表することが決定した。別の会場である川越織物工場跡では、松谷真未さんが空間をじっと見つめていた。もう使われなくなった倉庫が、どんなギャラリーよりも素敵な空間に見えてくる。伊吹拓さんが公開制作を行っていたのは鹿背山の倉庫。近所の人たちがその作品制作を見守っていた。この鹿背山は、地元のアーティストが多く活動している地域。アートセンターのような存在感を持つ「アトリエやま」、若手のグループ「アルテシカ」など、アーティストの磁場でもある。
 十一月、今年も「木津川アート二〇一一」が開催される。見慣れた町並みでも、ひとつの記憶が増えるだけで全く違う町に見えてくる。使われなくなった倉庫、元医院、長く使っていない蔵。まちの中で忘れられていく建築物。そこにはたくさんの記憶が眠っている。佐藤さんはひとつひとつの建物を訪ね、持ち主に会い、開催会場を開拓していく。ボランティアの人々やアーティストと共に掃除をし、会場として整える。アーティストの作品が展示され、それを見に来る人々がいる。古い建物が息を吹き返すことは、まちに新しい記憶と未来が生まれることに繋がっている。

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