「福知山での活動は、三年前に中心市街地活性化事業に関わったことがきっかけです。その仕事は一年間だけだったのですが、縁あって、いまの大学で働くことになり、そのまま福知山に関わることになりました。
 福知山には雲原砂防や毛原の棚田など美しい場所がたくさんありますが、私が最も美しいと感じたのは、朝焼けに照らされた由良川や町の景色です。「年越し大晦日ライブin明覚寺」というイベントをおこなった帰り道に、雪が舞う中、初日の出の光を浴びながら輝いていた山稜や町並みが目に焼きついています。」
 これまでに滋野さんが関わったプロジェクトは、先のお寺での年越しライブ以外にも、さまざまなものがある。地元の人たちと一緒に、三百メートルもの長さの本町商店街で行った「ヤカーリング」では、スポーツ競技のカーリングを真似て、商店街の直線距離を生かし、ヤカンを滑って転がすことで距離を競った。そのほかにも、今は使われなくなった銭湯を舞台にしたキャンドルやアート作品の展示などを行っている。こうしたさまざまなプロジェクトは、すべて地元の人からの提案があったものを滋野さんが一緒になってブラッシュアップし、実現へのアドバイスや手助けをしている、ということが特徴だ。滋野さんの役割は、まさに街の相談役。商店街を中心に、いろいろなところに顔を出して、そこで種のように芽生えたアイデアを実現に向けて後押しをしている。「屋外でイベントをやるのは許可を取ったり、地元調整が難しく、一年目はいくつかクレームもあった。広域の人との交流で二年目から面白くなってきた。」と滋野さん。新しい動きを始めている福知山での、これからの滋野さんの活動から目が離せない。

大京都アーカイブ