普段見慣れた風景が、少し見方を変えるだけで、特別な景色に見えてくる。
古く使われなくなった建物、里山、まち並み、自然。心の中にアート的な眼差しを持って眺めてみる。
地域の文化は、今その地に生きている人間と、歴史を含むその地に存在するあらゆるものとのコラボレーションによって形つくられる。
丹後・中丹・南丹・京都市・山城の五つの地域から成る京都。各地に魅力的な人がいる。
その方々にそれぞれの地域を案内していただいた。独自な視点によって映し出された景色の連続。
なんと呼んだら良いのだろうか。
大京都と名付けた。
鈴木昭男
Suzuki Akio × AMINO
鈴木昭男
Suzuki Akio × AMINO
森 真理子
Mori Mariko × MAIZURU
滋野 浩毅
Shigeno Hiroki × FUKUCHIYAMA
塩見 直紀
Shiomi Naoki × AYABE
塩見 直紀
Shiomi Naoki × AYABE
デトレフ・シャウベッカー
Detlev Schauwecker × NANTAN
デトレフ・シャウベッカー
Detlev Schauwecker × NANTAN
五島 智子
Goshima Tomoko × OYAMAZAKI
五島 智子
Goshima Tomoko × OYAMAZAKI
佐藤啓子
Sato Keiko × KIZUGAWA
佐藤啓子
Sato Keiko × KIZUGAWA
「水の脈」「森の脈」は2011年にまゆまろチャレンジ京都文化力発信事業の一環として作成されました。
京都という街が、多様なひとびとが集まってきて、生きることのわざを究め、ものの姿形を洗練させるというかたちで〈内〉を熟成させてきた場所だとすれば、京都を四方から取り囲む縁(へり)
とでもいうべき「大京都」は、〈外〉をたっぷりと呼吸している場所だ。
そこには都での暮らしぶりとは異なる記憶が深く湛えられ、ひとびとは血管を自然の懐にまで行き渡らせている。そしてそこに、時代のメジャーな感覚のその先にあるあさっての世界のかたちを思い描こうというひとたちが、じわりじわり、移り住みはじめている。
京都はじつはそういう〈内〉と〈外〉とがたえずたがいを呼吸しあいながら生き永らえてきた。京の町家のなかの坪庭や屋根裏には、入れ子のようにして、自然や野性がいまも息づいているが、それはまさに「大京都」の姿でもあった。
「大京都」という京都のトータルな身体は、〈内〉を熟成させつつその縁のところで〈外〉へと大きく開かれている。その身体のあちこちで試みられている未知の暮らしぶりが、自然と過去の滋養にたっぷりと恵まれて、わたしたちの未来をしずかに指さしている。
鷲田清一(哲学者)