フィールドパッチ

京田辺の

木津川を利用した食品系の工場だけでなく、交通網の発達により流通系企業の進出が盛んな京田辺。大学のインキュベーションからユニークな製品づくりを試みる中小企業にも目を向けたい

住宅地や農業に比べ、明確なイメージが持ちにくい京田辺の産業。しかし、京田辺市経済環境部の山口さんと八木さんに話を伺ってみると、ユニークな製品をつくる中小企業や、大学と連携したインキュベーション施設の存在、高速道路建設による流通系企業の進出など、産業をめぐる多様な状況と、京田辺市の未来を左右する重要な課題が浮かび上がってきた。

お話を聞いた人:
山口俊郎さん(京田辺市経済環境部 産業振興課長/京田辺市消費生活センター所長)
八木義範さん(京田辺市経済環境部 産業振興課)

京田辺の産業

多様性のある企業構成


京田辺の産業面の特徴について尋ねると意外にも「多様性」という言葉が返ってきた。「地場産業のような特色ある産業の集積があったわけではなく、逆に言うといろいろな産業があるとも言える」という。加工業では金属加工の工場が比較的多いほか、少し変わったところでは蓄光樹脂やプラスチック精密加工、和紙加工など幅広く存在しているという。さらに、誰もが一度は耳にしたことがあるだろう消防車のサイレンの音を開発した会社や、鉄道の座席シートを一から制作しているようなオンリーワンな事業を行っている企業も数多く存在する。このような事業展開をしている中小企業は、住宅街の中にも町工場として点在している。行政が力を入れているのも中小企業支援で、販路の拡大や、プロモーション、人材確保、特にネットワークづくりを同志社大学、市も一翼を担うけいはんな学研都市などの支援機関とも連携し進めている。
 同志社大学の研究室と連携しながらベンチャー企業が技術開発をすすめたり、新しい技術を用いた新規事業の立ち上げに取り組んでいるのが、大学と京都府、市が連携し運営している起業家育成施設『D-egg』というインキュベーション施設だ。インキュベーションとは孵化器のことで、起業家を企業の卵に見立て、事業化に成功し巣立つまでの支援を行うことを意味している。同施設には、最先端のプラズマ技術などによる炭素メッキ加工の研究から、インターネットを活用した教育プログラムや、福祉機器、食品など、開発・研究内容は多岐にわたり、新規産業への期待が集まる。
 一方、市北部の大住工業地域など各工業地域には木津川市の伏流水を利用した食品系企業の他印刷、電子部品、産業用チェーンなどの大規模工場が数多く立地している。また近年は、京奈和自動車道と第二京阪道路の2つの高速道路に加え、新名神高速道路の一部開通により交通面でますます魅力的な場所になりつつあり、高速道路のインター付近には物流系大手企業の進出が予定されている。

「地域で働く」を広げる


京田辺市の人口は今も増加傾向にある。一方、市内で働く人は増えておらず、交通の便を生かして大阪、京都、奈良へと通勤する割合が高い。特に北部の新興住宅地ではもともと大阪などで働いていた人が、広い家が欲しいからという理由で引っ越してくるパターンが多いためその傾向が強い。そのため、京田辺の住人が市内で働く環境をどのようにつくれるかが今後の課題だ。この街で育った次世代が市内で働き、一定数の人の流れが市のなかで完結する状況を作ることが、将来にわたって安定的に人口が推移することにつながる。田辺高校の生徒が地元の工場を見学する機会を設けたり、京田辺市のHPで市内にある企業の紹介ページをつくるなど、まずは魅力的な製品をつくっている事業者の存在をどのように市民に知ってもらうかという視点で施策を展開している。企業からも自主的に、地域住民も対象とした職場公開の機会を設けるなど、交流を深めようとする動きも生まれているという。「魅力的な企業が京田辺にはたくさんあることをみなさんにもぜひ知ってもらいたいです」と八木さんと山口さん。

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住宅地や農業に比べ、明確なイメージが持ちにくい京田辺の産業。しかし、京田辺市経済環境部の山口さんと八木さんに話を伺ってみると、ユニークな製品をつくる中小企業や、大学と連携したインキュベーション施設の存在、高速道路建設による流通系企業の進出など、産業をめぐる多様な状況と、京田辺市の未来を左右する重要な課題が浮かび上がってきた。

お話を聞いた人:
山口俊郎さん(京田辺市経済環境部 産業振興課長/京田辺市消費生活センター所長)
八木義範さん(京田辺市経済環境部 産業振興課)

京田辺の産業

多様性のある企業構成


京田辺の産業面の特徴について尋ねると意外にも「多様性」という言葉が返ってきた。「地場産業のような特色ある産業の集積があったわけではなく、逆に言うといろいろな産業があるとも言える」という。加工業では金属加工の工場が比較的多いほか、少し変わったところでは蓄光樹脂やプラスチック精密加工、和紙加工など幅広く存在しているという。さらに、誰もが一度は耳にしたことがあるだろう消防車のサイレンの音を開発した会社や、鉄道の座席シートを一から制作しているようなオンリーワンな事業を行っている企業も数多く存在する。このような事業展開をしている中小企業は、住宅街の中にも町工場として点在している。行政が力を入れているのも中小企業支援で、販路の拡大や、プロモーション、人材確保、特にネットワークづくりを同志社大学、市も一翼を担うけいはんな学研都市などの支援機関とも連携し進めている。
 同志社大学の研究室と連携しながらベンチャー企業が技術開発をすすめたり、新しい技術を用いた新規事業の立ち上げに取り組んでいるのが、大学と京都府、市が連携し運営している起業家育成施設『D-egg』というインキュベーション施設だ。インキュベーションとは孵化器のことで、起業家を企業の卵に見立て、事業化に成功し巣立つまでの支援を行うことを意味している。同施設には、最先端のプラズマ技術などによる炭素メッキ加工の研究から、インターネットを活用した教育プログラムや、福祉機器、食品など、開発・研究内容は多岐にわたり、新規産業への期待が集まる。
 一方、市北部の大住工業地域など各工業地域には木津川市の伏流水を利用した食品系企業の他印刷、電子部品、産業用チェーンなどの大規模工場が数多く立地している。また近年は、京奈和自動車道と第二京阪道路の2つの高速道路に加え、新名神高速道路の一部開通により交通面でますます魅力的な場所になりつつあり、高速道路のインター付近には物流系大手企業の進出が予定されている。

「地域で働く」を広げる


京田辺市の人口は今も増加傾向にある。一方、市内で働く人は増えておらず、交通の便を生かして大阪、京都、奈良へと通勤する割合が高い。特に北部の新興住宅地ではもともと大阪などで働いていた人が、広い家が欲しいからという理由で引っ越してくるパターンが多いためその傾向が強い。そのため、京田辺の住人が市内で働く環境をどのようにつくれるかが今後の課題だ。この街で育った次世代が市内で働き、一定数の人の流れが市のなかで完結する状況を作ることが、将来にわたって安定的に人口が推移することにつながる。田辺高校の生徒が地元の工場を見学する機会を設けたり、京田辺市のHPで市内にある企業の紹介ページをつくるなど、まずは魅力的な製品をつくっている事業者の存在をどのように市民に知ってもらうかという視点で施策を展開している。企業からも自主的に、地域住民も対象とした職場公開の機会を設けるなど、交流を深めようとする動きも生まれているという。「魅力的な企業が京田辺にはたくさんあることをみなさんにもぜひ知ってもらいたいです」と八木さんと山口さん。

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