ヒサモト タカト 

愛知県立芸術大学大学院
美術専攻デザイン領域 在籍

ヒサモト タカト 

愛知県立芸術大学大学院
美術専攻デザイン領域 在籍

1993年京都府生まれ。現在愛知県立芸術大学大学院で視覚伝達デザインを専攻中。

今までの作品について

これまで私は、イメージと現実のズレを面白がるというテーマで作品を制作してきました。そのズレとは知っているようで知らないことから生まれるのではないかと感じています。特に、たぬきをモチーフにした作品を作っていました。それはたぬきが幅広いイメージを持っているからです。本物のたぬきと世の中に広まるデフォルメ化されたたぬきとの違いなどがその例です。

今回のリサーチテーマ

調査全体のテーマは殻をやぶるということです。
それは、街に来た人自身の変化、また街自体が変化することで、殻をやぶって成長できるようになるということです。

福知山の街には、魅力あるむかしの建物や歴史がありますが、どれもよそから見ると目立つものではなく、それぞれの魅力が孵化する前の卵のように、殻の中に隠れているように思いました。
その中で特に調査の対象としたのは、街中にあるスナックとガスの表示鋲です。
ガス表示鋲は、街を歩いていると至る所に埋め込まれているのに、住んでいる人にとっては全く意識されていません。水害が多かったことなどから、早くに下水道設備などインフラが整えられた福知山で、人々の生活を支えてきたガスの管を示す表示鋲ですが、もう製造されておらず、今後は減っていく一方だそうです。

同様にスナックも街の中に点在していて、かつて人口に対して飲み屋の軒数が日本一だった頃の面影を残しています。とはいえ、看板だけ残って潰れてしまったところも多く、若者のスナック離れとともに消えていくのではないかと思います。
表示鋲とスナック、どちらもこのままいけば自然と無くなっていくことになるでしょう。福知山の街には他にも衰退の一途をたどっているものがたくさんあります。これらの消滅の危機にあるものに何か目を向けられないかと考え、街の人口減少や商店街の過疎化、高齢化など、街に停滞感がある中、外部から来た人々が自身と街の双方に変化をもたらす存在になると考えてプランを考えました。

コミュニケーションについて

今回の調査では、街の人々と関わる機会が多くありました。その中で、地域に溶け込むための1つの方法を学んだように思います。

地域の地蔵盆に参加した際に、福知山のドッコイセ踊りを一緒に踊った時のことです。手と足の振り付けを合わせるのが難しく覚えるのが大変でしたが、真似をして踊るうちに最低限踊れるようになりました。だんだん踊れるようになると、自然と地域の人たちも声をかけてくれるようになったのです。

また、私は今回の調査までスナックに行ったことがなかったので、最初は緊張していました。でも、連れっていてくれた方やお店のママさんはどの店もとても親切で、ゆっくりお話させていただいたり、楽しく盛り上げてもらったりと、いろいろな雰囲気を味わうことができました。ママさんとのお話の中では、だんだんと経営者の高齢化や、客足の減少など厳しい現状があるということも聞きました。ですが、同時にそんなことを感じさせないパワーのようなものを感じた時間でした。スナックは、他の飲食店と違い外から中の様子がわかりません。入る時はドキドキしますが、いつの間にか楽しくなっている。こうした体験をするうちに今回のテーマでもある殻をやぶるというところに結びついていきました。

ハプニング

地元のスナックに詳しい方を探したのですが、なかなか見つからなかったことです。それでも、結果的には見つかり何軒か紹介していただきました。

今後の展開

今回、地域アートとはなんなのか体感したい、自分の制作に未知の方向からの広がりを見つけたいという想いで参加させていただきました。

今までは、一人で閉じこもって作品制作を行ってきたので、今回のように街へ出て多くの人と関わりながら考えていく2週間は私自身にとっては新鮮な時間でした。ただ、外に出ていろいろな情報に触れる分、考えたことをどうアウトプットしていくかが難しかったです。今後は、今回の案をもう少しブラッシュアップできればという思いもあります。また、自分自身の制作に向けての考え方にも変化があるのではないかと思います。

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