レポート

瀧澤 秀樹

美術家

瀧澤 秀樹

美術家

1981年東京生まれ。東京工芸大学写真学科で写真を学び、グラスゴー美術大学大学院で現代美術を学ぶ。現在は、千葉県松戸市を拠点にして制作活動を行っている。


今までの作品について

絵画と写真を中心としたヴィジュアルアート作品を主に制作している。作品の主題は、信仰と消費社会の両義的な関係に焦点を当てている。また、自分の記憶が時間とともに変容していくことに興味を持っていて、絵画や写真を媒介にして、記憶を視覚化させることを試みている。また、宗教、アート、神秘、記憶、夢というキーワードが作品を制作するきっかけになっている。

今回のリサーチテーマ

舞鶴とキリスト教の関係をリサーチし、舞鶴の地域性は、キリスト教の信仰に影響を与えているのかを調査した。

舞鶴にある教会を中心に取材し、礼拝に参加した。舞鶴には、カトリック教会とプロテスタント教会があり、さらに分類すると、日本キリスト教団の教会や韓国系の教会や、イスラエルとの関係が深い教会など、さまざまな種類の教会が舞鶴に点在していた。舞鶴の町の規模を考えると教会の数が多くあるように思った。

どの教会も、聖書に書かれていることを大切にしていて、キリスト教の信仰と舞鶴の地域性には直接的な関係を見ることはできなかった。

キリスト教に焦点を当て、リサーチ進める中で、ラーメン屋の入り口にあったタイの像の足下にお賽銭のようなものがされていたり、コインランドリーに宗教的な言葉が掲載されている日めくりカレンダーがあったり、舞鶴の町中には、キリスト教の信仰ではないが、何らかの信仰の表れが日常の中に多くあったと思う。

レポート中のハプニング

にわか雨が降った時に、舞鶴でクリーニング店を営む老人に車に乗せてもらった。その老人は、日本や舞鶴の歴史に詳しく、西舞鶴駅に展示されている山車について説明してもらった。後日、クリーニング店を訪ねた。その時は、私の現在住んでいる千葉の歴史の事について話してくれた。宰嘉庵で行われた展示にも来てくれて、舞鶴の人と交流することができてよかった。

コミュニケーションについて

本プログラム参加アーティストや講師の方、舞鶴の方など、さまざまな方と出会うことができ、前向きな意見交換ができた。アーティスト・イン・レジデンスという特殊な環境に身をおくことで、普段の生活では繋がることができない方と交流することができ、アーティスト・イン・レジデンスは、人と人を繋げることのできる装置なようなものだということを実感した。

今後の展開

本プログラムで信仰というテーマをより掘り下げることができた。地域の環境や文化がどのように宗教に影響を及ぼしているのか、考察を深めていきたい。また、アーティスト・イン・レジデンスの作家の創造における有用性や、社会や地域に対しての文化振興の効果を感じることができ、自分の制作したアート作品が、社会や地域に対してどのような意味や価値を持つのか見極めて活動していきたい。

今回の展示

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